ファンドを組成して、運用し、3年後には売却をしたいと思う人は、なるべく安く買いたたいて、3年後の出口では、物件の売却益もあわせて投資効果を最大にしたいでしょう。生命保険会社のように、10年、20年の期間で長期に運用をしたい人は、収入価格もさることながら、そこから毎年期待できる賃料収入と資産としてのインフレヘッジの実現に着眼して物件の価格を算定するでしょう。地方の中小企業の社長さんにとって、渋谷の一等地にビルを持つことは今後の会社の宣伝としては不可欠なものであり、その広告効果を考えれば、とにかくまず、二度と出ないその物件を手に入れることが会社の将来の発展のための第一歩と考えているのかもしれません。「適正な地価」は、その土地の持っているどんな価値に着眼するかといった、用途や期間、ステータスなどさまざまな観点から土地を評価できるがゆえに、一般の工業製品のように標準化することが難しいのです。したがって、適正な地価というものは、その土地に興味を抱き、その土地の持っているどの価値を引き出すことに関心があり、その価値に対してどの程度の値段をつけるかによって、大きく異なってくるのです。そこに、外部の人が、その土地の持つ神秘的な価値、特定の人が欲している価値を顧みることなく、適正な価格とか、あるべき価格を持ち出すことは、きわめて観念的なものとならざるをえないのだと思います。地価に対して抱く個人個人の異なる想いが、勝手な基準を作り出していて、その勝手な基準をもとに地価が高すぎる、などというコメントをするのです。もう少し冷静に、地価が語る背景を理解したいものです。
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